・・・そして竹内被告が書いたその上申書の冒頭に語られている錯交した本人の心理に似合わず鮮明、詳細な、現場見取図というものが、番号入りでのっているのである。 十一月十八日の第二回公判をひかえて、竹内被告の上申書は読売新聞独特の特色を発揮して出来・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・中国から帰って来た教育家たちが、教会で神学作興資金の演説をしたあとでは、きまって天錫を壇上に呼び上げて、会衆に紹介する。「『之が、我々の教育で出来た中国の青年です。ごらん下さい』と云わんばかりです。これは猿まわしみたいなものではないですか」・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・そして、自分が骨を折って若い男女の冬期間だけの出稼ぎを援助し、「村民の気分を作興して」例えば娘の身売りを平気でさせる「貞操に関する観念の極めて鈍感であることを」改善しなければならぬ。「真理道場の第一の使命を農村文化の向上において、科学、哲学・・・ 宮本百合子 「村からの娘」
出典:青空文庫