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・・・ ……その冷く快かった入口の、立看板の白く冴えて寂しいのも、再び見る、露に濡れた一叢の卯の花の水の栞をすると思うのも、いまは谷底のように遠く、深い。ここに、突当りに切組んで、二段ばかり目に映る階段を望んで次第に上層を思うと、峰のごとく遥・・・
泉鏡花
「開扉一妖帖」
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・・・ども三三に、…………曾て茸を採りに入りし者、白望の山奥にて金の桶と金の杓とを見たり、持ち帰らんとするに極めて重く、鎌にて片端を削り取らんとしたれどそれもかなわず、また来んと思いて樹の皮を白くし栞としたりしが、次の日人々と共に行きてこ・・・
泉鏡花
「遠野の奇聞」