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・・・舗道をあるくルンペンの靴音によって深更のパリの裏町のさびしさが描かれたり、林間の沼のみぎわに鳴く蛙や虫の声が悲劇のあとのしじまを記載するような例がそれである。 このような音のモンタージュは俳諧には普通である。有名な「古池やかわず飛び込む・・・
寺田寅彦
「映画芸術」
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・・・「しじまにもだせる、――しおらしきものらよ、 夜は――けんこんの悪を包まんがために下る、 よろこびうたわん夜のために――くすしき夜のために―― 夢をはらみ――夢の如せまり来る夜に我はひたらん よろこびつつ――たのしみつつ・・・
宮本百合子
「小鳥の如き我は」