・・・味方の手には、あらゆる殺戮の武器を与えようとするこの種の平和運動者を指弾するらいてう氏の警告にはこのようにして事実の裏づけが見出されるのである。きょうの現実の間で「二つの世界」をいうならば、それは一方に真実世界平和のために努力しつつある人々・・・ 宮本百合子 「平和の願いは厳粛である」
・・・エゴーの分析 リアリズム 古き十八世紀風なもの 社会的場面の描写 特にサロン スタンダールの帝政時代観 p.28 リュシアンの入った第三師団管轄区の査閲を拝命した伯爵N中将について。p.29 N伯・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
・・・つ協定や条約をただの紙きれとしてしまおうとしている者たち、軍備の廃止のために協力するどころか、すでにおそるべき結果を生み出している軍事同盟政策に熱中して、西ドイツに、もとのヒットラーの突撃隊員をふくむ師団をつくった、極東の平和を名目として日・・・ 宮本百合子 「わたしたちには選ぶ権利がある」
・・・ 石田は司令部から引掛に、師団長はじめ上官の家に名刺を出す。その頃は都督がおられたので、それへも名刺を出す。中には面会せられる方もある。内へ帰ってみると、部下のものが名刺を置きに来るので、いつでも二三枚ずつはある。商人が手土産なんぞを置・・・ 森鴎外 「鶏」
・・・皇室警衛のために東京には近衛師団がある。巡査や憲兵も沢山いる。警手もいる。我々の出る幕ではない。――しかし父が自ら警衛したいという心持ちにも当然の理由を認めざるを得なかった。父の皇室に対する情熱は、乃木大将のそれのように、個人的なものである・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫