・・・ ゴーリキイは、当時自分の主宰していた『新生活』紙上で、この新しい人類の世紀の正しい理解をひろめるために、又、レーニンに対する逆宣伝を破るために精力的な活動を惜まなかった。彼は人民委員会の顧問となり「学者の生活改善委員会」の長となり「世・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
・・・垣裾へ忍びよる憲兵の足音を聞きつけたからだった。主宰者が憲兵を中へ招じ入れたものか、どうしたものかと栖方に相談した。「いや、入れちゃ不可ん。癖になる。」 床前に端座した栖方は、いつもの彼には見られぬ上官らしい威厳で首を横に振った。断・・・ 横光利一 「微笑」
・・・が万物に充満していると説くところは、やや汎神論的に見えるが、しかしそれをあくまでも天地の主宰者として取り扱うところに、佐渡守の狂信の対象であった阿弥陀仏や、キリシタンの説いていたデウスとの相似を思わせる。そういう点を考えると、この書が佐渡守・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・神話時代には天皇は、宇宙の主宰者たる天照大神の代表者であった。天照大神は信仰の対象であって現実的に経験のできるものでない。それは理論的に言えば一切のものの根源たる一つの理念である。この理念の代表者或いは象徴であるがゆえに神聖な権威があったの・・・ 和辻哲郎 「蝸牛の角」
出典:青空文庫