・・・アルバイトしている男女学生の生活は、経済安定本部の抽象性の修正者です。日本のわたしたちは、考えるということを禁じられて来たから、きょうの混乱が一層めちゃめちゃなのです。第一、考えること、思想するということを、現実からはなれることと考えた古い・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・吉田首相がどんなに綺麗な白足袋をはいているかということではなくて、続々と失業させられている労働者の食べられるもの、着ていられるものは何か、田圃で働いている人々、苦しい中小商工業の人々の生活で、赤坊の着ているものはどういうものかということに、・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ しばしば例に引く科学主義工業の主唱者は、高賃銀低コストを目標としているのであるが、本年の春、ある村で作業場の賃銀が村の労銀の水準に対して高すぎるという苦情が出たことが報告されている。村の労銀というのは恐らく従来の救済工事の日当や日傭労・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・ 新しい力が、古い根づよいものによって決められ、しかしついにはいつか新しい力が農村の旧習を修正してゆく現実の有様を描いてある。こういう本は字引がいらない。 十一月三日。 時計がまた一時間進んだ。すっかり極東時間――日本と同じ・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・ 第一、ソヴェト同盟について、革命以来伝えられているブルジョアの逆宣伝は、我々の常識の中で、どの位修正されて居るだろうか? プロレタリア革命の勝利は、ソヴェト市民、あらゆる働く男女と子供との些細な日常生活までを、どんな驚歎すべき現実的な・・・ 宮本百合子 「若者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)」
・・・要するに吉田首相とその乾分は世界のブルジョア政治家も裏面でしかあらわさないような男としての醜態を参議院で演出してもう民自党に投票してくれないでもいいんだということを天下に声明しました。 男が酒をのんで女にからむということは恐らく日本にだ・・・ 宮本百合子 「泉山問題について」
・・・『世界の顔』で、国際的信望を失いつつある鳩山一郎氏が、自由党という第一党の首領であり得ることも、おどろかれるし、現職のまま幣原首相が進歩党の総裁となって入党したことも、民主とはかかることにさえつけられる名称かと、日本の民主主義の異常さに、目・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・若い時代に大変苦心して大学教育をうけ、判事試補にまでなったのだが、当時ビスマークを首相として人民を圧迫していたウィルヘルム二世の官吏として人民に対することは、自分の良心にそむくことを知って、職をすて、改めて左官屋の仕事を学んだ。左官屋といっ・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・婦人の政治参加の問題どころか、戦争に熱中した政府は戦争に対する人民の批判や疑問を封鎖するために、近衛首相を主唱者として、政党を解消させ、翼賛政治会というものにして、議会そのものの機能を奪った。婦人運動の各名流たちは、「精神総動員」に参加して・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・婦人の政治参加の問題どころか、戦争に熱中した政府は戦争に対する人民の批判や疑問を封鎖するために、近衛首相を主唱者として、政党を解消させ、翼賛政治会というものにして、議会そのものの機能を奪った。婦人運動の各名流たちは、「精神総動員」に参加して・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
出典:青空文庫