・・・そして、仔細に作品の現実に入ってながめると、この作家が作品の主調として主観的に提出しているこの人生におけるある道義、正義、誠意というものの実質が、もし真実この社会に要求されているならば、当然その可能のために作者がよく云うとおり、望む望まない・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・マランダンはどこまでも自分の証拠をあげて主張した。かれらは一時間ばかりの間、言い争った。アウシュコルンは自分で願って身躰の検査を求めた。手帳らしきものも見いだされなかった。 ついに市長は大いに困ってその筋に上申して指揮を仰ぐのほかなしと・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
コンミニズム文学の主張によれば、文壇の総てのものは、マルキストにならねばならぬ、と云うのである。 彼らの文学的活動は、ブルジョア意識の総ての者を、マルキストたらしめんがための活動と、コンミニストをして、彼らの闘争と・・・ 横光利一 「新感覚派とコンミニズム文学」
・・・その主張を一語でいうと、神儒仏の三者は同一の真理を示している、一心すなわち神すなわち道、三にして一、一にして三である、ということになるであろう。 この兼良が晩年に将軍義尚のために書いた『文明一統記』や『樵談治要』などは、相当に広く流布し・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫