・・・政府は重要産業の補償をうち切って、百万人の失業者を出すそうだが、その百万人の人々とその家族、その主婦たちにとって、この威風にみちた秋田の稲田のことしのみのりは、どういうものになって現れるのだろう。 政府がきめる土地調整法案で地主は必ずし・・・ 宮本百合子 「青田は果なし」
・・・けれども、あの日台所で燻い竈の前にかがみ、インフレーションの苦しい家事をやりくって、石鹸のない洗濯物をしていた主婦のためには、新憲法のその精神がはっきり具体化されたような変化はなかった。今日は男も女も、それが地みちの生活をしている人であるな・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・家庭の主婦たちにしても、いろいろな婦人団体やクラブの仕事をしている人の率が多い。世界民主主義婦人連盟、反ファシスト同盟、人権擁護同盟そのほかに属している婦人たちの数も少くない。これらの婦人たちが切実に要求しているのは平和であり、民主的であっ・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・生れて半年ほどの赤児をつれて、マルクス夫妻はベルギーの首府ブルッセルに移った。一八四五年一月のことである。 四「書物の海」からぬけ出たカール――ブルッセル時代―― 三年間のブルッセル時代はカール・マルクスの一生・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・ 伝記を読んだ方々には御承知の通りに、マリヤは、ポーランドの首府ワルソーで中学校の物理の先生をする傍副視学官をつとめていたスクロドフスキーの四人娘の末っ子として生れました。西暦一八六七年十一月に生れたから、日本が明治元年を迎えた時です。・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人の命の焔」
・・・ ニージュニに新しくソヴェト・フォード製作工場が出来たという事実は、ソヴェトのような社会主義社会においては、単に首府モスクワの往来を、より沢山のトラックが地響たてて疾走するようになったというだけには止らない。一つの新しい工場は、きっと新・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・私達のおばあさん、ひいおばあさん達がまぶたをただらせてくすぶらせたその台所の生活が一九四七年の日本の首府東京の家々の台所となっています。婦人の封建性といわれる問題は決して抽象的な問題とはいわれません。この台所一つがたとえ民法がどう改正されよ・・・ 宮本百合子 「今度の選挙と婦人」
・・・ 国際ペンクラブ第十四回大会は、この年九月五日から十日間、アルゼンチン首府、ブェノスアイレスに開催され、日本からはじめて島崎藤村、有島生馬の二氏が代表として出席した。大会は、国際事情の複雑な背景を負うた。同じ六月ロンドンで第二回会議を持・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ 黒くひかってそこへ街の灯かげをうつす大都会、地球の六分の一を占める社会主義連邦の首府モスクワの春の泥水をしばいて電車はひどい勢で走っている。今夜は特別な日なんだ。三月八日は世界無産婦人デーである。各区の勤労者クラブでいろんな催しものが・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・ レーニンは十月革命前後から、モスクワへ首府をうつすまで、この一室で、この椅子で、妻のクループスカヤと仕事していたのである。 レーニンは、外国亡命中にも、いろんな都会や田舎で、いろんな室に住んだ。モスクワのレーニン研究所所属レーニン・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
出典:青空文庫