・・・が終った朝、ニージュニ・ノヴゴロドからイリイッチ号という小ざっぱりした周遊船にのって、秋のヴォルガを五日かかってスターリングラードまで下り、そこからコーカサス、チフリスと経て、アゼルバイジャン共和国の首府バクーへ来たのであった。 ソヴェ・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・ 大詰は、社会主義国の首府から迎えの飛行機がやって来る。飛行機は、未来のアメリカの屋上着陸所みたいな高い高いところで止っているのだそうで、見物席からは見えない。銀と赤の飛行服をつけて上空からやって来た、中央からの婦人使節スワーボダに率い・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ モスクワと云えば、ソヴェト同盟の首府で、世界の革命を題にし、みんな自分たちの考えだけで遊びをやりとげるところは感心だ。 どうだ。日本の小さい同志。ひとつ、まけずに、こっちでも、ためになる、真面目な、集団遊戯を考えようではないか。〔・・・ 宮本百合子 「ソヴェトのピオニェールはなにして遊ぶか」
・・・の旅費の補助を土台とし遠い満州国へ移住するのだからと家財道具をも売り払って、女房子供を引きつれ数百人が一団となって幸福を求め旅立って行った。 長春は新京と名を改め、今は「満州国」の首府である。着いて見て、北九州の労働者達は拳を握って口惜・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・その三人が、東京が首府だから自然そこに落ちあったというばかりではない歴史の動きにめぐり合いの機会を与えられたということも、女同士の友情、また婦人作者たちの間にある友情として、やはり新しい性質を含んでいるのだと思われる。 女同士の友情なん・・・ 宮本百合子 「なつかしい仲間」
・・・を現実のものとして彼等が北極に学術探検隊をおくることに成功したとき、遙かかなたの首府では、この小説が劇場に上演されていることをラジオで知るそのこともよろこびをもってかかれているのである。 今日私たちの身近にも、専門は科学であるが、文学方・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・からの分離の動因ともなったハリコフ会議、一九三〇年十一月に、ウクライナ共和国首府ハリコフで行われた国際革命文学書記局第二回世界大会の日本のプロレタリア文学運動に関する決議が、この大会で一九三一年度の「ナップ」活動方針に具体的に討議されるはず・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・彼らに内在するあらゆる自然発生的中流的素質は、老大国の首府に暮すうち数等政治的年功を積み、実利主義によってきたえられたイギリス中流的秩序によって言語とともに整理される。英国人の他人種に馴れる馴れ方はフランス人の馴れ方と違う。英国人が或他人種・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・ 今日、昭和の御世、日本が東亜の指導者となりつつあるといわれているとき、国の中で首府の真中で、そういう気風が現われているということについて、私たちは何を考えさせられるだろうか。そして、要路の指導者たちはそれに対してどんな方策を考慮してい・・・ 宮本百合子 「私の感想」
去年の丁度秋頃の事でした、私は長い旅行に出掛ける準備で、よく紐育市のペンシルバニアと云う停車場へ行き行きしました。其の停車場は、北米合衆国の首府である華盛頓の方へ行く鉄道の起点なので、東京駅などよりはずうっと大きな建物の中・・・ 宮本百合子 「私の見た米国の少年」
出典:青空文庫