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・・・随って椿岳の後継は二軒に支れ、正腹は淡島姓を継ぎ、庶出は小林姓を名乗ったが、二軒は今では関係が絶えて小林の跡は盛岡に住んでるそうだ。 が、小林にしろ淡島にしろ椿岳の画名が世間に歌われたのは維新後であって、維新前までは馬喰町四丁目の軽焼屋・・・
内田魯庵
「淡島椿岳」
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・・・尻をおろさざるなり、ペダルに足をかけざるなり、ただ力学の原理に依頼して毫も人工を弄せざるの意なり、人をもよけず馬をも避けず水火をも辞せず驀地に前進するの義なり、去るほどにその格好たるやあたかも疝気持が初出に梯子乗を演ずるがごとく、吾ながら乗・・・
夏目漱石
「自転車日記」