・・・二〇年余の看護婦としての経験と彼女の優秀な資格は、ロンドン市立病院の一人の看護婦である彼女を、人生のいろいろの場面に立ちあわせることになりました。行路病者として運びこまれた乞食の臨終に立ちあった彼女は、その優れた資質によってイギリス国王の病・・・ 宮本百合子 「生きるための協力者」
・・・ 間断なき週間制によって、五日週間を働くようになった一般勤労者は、職場職場で、生産能率増進のウダールニクを組織し、家へかえる道々には、例えばモスクワ市立銀行の屋根に、赤く翻るプラカートを見た。そこには大きい字で書いてある。「我等のと・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・法隆寺の例にむきだされた行政官僚の文化に対する無責任は、二月二十一日の読売にのった高瀬荘太郎文相の私立学校つけとどけ木戸御免説となって再現している。本来は人民の文化の富であるはずのものが、おかしな方法で処置される例は、この間アメリカへわたっ・・・ 宮本百合子 「国宝」
・・・ 読んだひとには其が小説であるということなどぬきに、五万円迄は出すという そのことが大うつしになったのである。 その焦点のきつさの驚き。 私立大学出の程度の実業家というものの経路、 自身の過去の人生経験に対する自信と同時にそ・・・ 宮本百合子 「SISIDO」
・・・ 現在のところでは上野の帝国図書館にしろ蔵書の量と種目とでは決して満足と云えないし、日比谷の市立図書館を、東亜の大首都東京市の代表図書館であると云わなければならないことには、些か忸怩たるものがありはしないだろうか。図書館へは学生のうちだ・・・ 宮本百合子 「実際に役立つ国民の書棚として図書館の改良」
・・・ ○女子大学生 ラバ lover さん 私立大学のハイカラ生 エルサン 摩耶山はエルさんをつれてのぼるところだ、と思いましたよ。 智識階級の二十―三十代 リーベ すきな人・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・ 恐ろしい出来事の二週間後、ロザリーは愈々ロンドンに出、或る寄宿学校に入りました。私立学校によくある通り、金持の娘達がまるで威張るのでロザリーのように学資の豊かでない、伯母のかかりうどの娘は、いろいろなことで、揶揄されたり、なぶり者にさ・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・ 参吉は或る私立大学の講師をしている傍ら、近代英文学の社会観とフランス文学のそれとの比較をテーマに研究しているのであった。「うちの伍長さんだって危いもんだわ」外套のボタンをはずしながら好子が云った。「落着かないわねえ。何万人もが・・・ 宮本百合子 「二人いるとき」
・・・フロレンスはついにロンドンの医者街、ハーレー街にある私立の慈善病院の監督となることができたのである。 それにしてもフロレンスは何故そのような執着をもって社会衛生に関係した仕事などに情熱を感じたのであろうか。 無責任な幾多の伝記者・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・ その後、しばらくして各大学における運動部の内情が、具体的に描き出された雑誌記事があった。私立大のスポーツ・ボスが従来どんなにチームをくって来たか。そのために選手たちのスポーツマン・シップは危機にさらされがちであること、及び、各大学の運・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
出典:青空文庫