・・・ そのためには具体的の共同体というものが、父母から発生し、大家族を通しての、血族的、言的共生を契機とし、共同防敵によって統一され、師長による文化伝統の教育と、共存同胞による衣食の共同自給にまつものである事情、すなわち父母と、師長と、国土・・・ 倉田百三 「学生と先哲」
・・・しかもこの種の観測事業は一年や二年で完了するものでなく、永年にわたって極めて持久的に系統的に行ってはじめて効果をあげることが出来るものであろう。それだのに、日本の政府が従来こうした大事な科学的な政道に如何に冷淡であったかは周知の事実である。・・・ 寺田寅彦 「新春偶語」
・・・これに対して、物価調節、各家庭に対する節約宣伝のような、やや消極的方面の問題、また積極的には女性の自給自立、労銀等の問題から、根本に近い、社会主義上の諸問題が、惹起されます。これ等は、おもに流動する貨幣のみちびきかた、適当な配分を考究して、・・・ 宮本百合子 「男…は疲れている」
・・・別の撤廃、マーシャル・プランの廃止、植民地住民の自治原則確立、日独に対する講和促進と占領軍の撤退、中国における民主的連立政権の樹立、タフト・ハートレー法の撤廃、非米委員会活動の廃止、基本産業の国有化と時給一ドル最低賃銀制の確立。ここには第一・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・理性擁護の行動そのものがもし万一にも性急で持久性を欠くならば、そのような行動の方式は、理性の本質にとって適切でないというリアリティーによって、われわれは思いしらされなければならないでしょう。 幾千の若い僚友よ わたくしは、こんに・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
出典:青空文庫