・・・ ――みんな党外の婦人です、党は、党外の人々の助力なしに何も出来ない。……ああ、あなた、暇ですか? 百二十四番の室へ、来なければならなかった。 ――じゃ丁度いい、今日あの人たちあなたと話す時間がないが、きっと、それを希望している・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・そしてその友達の、レントゲンを見て驚いた男の子が助けてやりたいと思って、科学者の息子に助力して貰いにいく。少年は寺へ侵入して偶像は偶像であるということを明かにして娘を救い出す。ある場面では日本の壇の浦の遠見の敦盛みたいに、オートバイが舞台の・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・もういやというのは余り生活の苦しさや、彼女の助力の必要を理解した。だから彼女は泣いたり、愚図つくのを恥じている。然し、見も知らぬ通行人を、止めようとすると、云い難い外国語が、彼女の細い真直な少女の喉元を塞げるのだ。彼女は矢張り下手な売り手で・・・ 宮本百合子 「粗末な花束」
・・・彼方此方、随分とび廻って、さし迫った智慧や忍耐や互の助力をかしてやったが、破壊神や呪咀の神は、一向私の存在を見抜なかった。呪いの神が、破壊神を単純と嗤ったが――云った者が必ず叡智に長けているとも思いません。私の白髪とこの透明な白衣とが、何の・・・ 宮本百合子 「対話」
・・・或る箇人、例えば、父、良人、長兄などと云う一人の力に縋って、その人の庇護、その人の助力、その後援によって、一族円満に、金持もなければ貧しい者もない風で暮すのを理想とするよりは、もう一歩、人生に対して積極であると思います。先ず自己を、次に自己・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・優しい鼓舞と助力は待ち望まれている。彼等の歎息に耳をかせ。 彼女は、書きながら、心がブーンブーンと鳴り響くような心持がした。「弱い者、気の毒なものが虐げられるのが悪いのなら、そうでないように出来るだけやってみることに、何の躊・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・人々の驚歎するような精励をもって、ゴーリキイは当時のロシアの若い作家たちの生育のために助力していたし、ソヴェト社会の建設に注目をも怠らなかった。そうではあってもイタリーはイタリーなのであるし、日常の皮膚から入って来るような生活的影響というも・・・ 宮本百合子 「長篇作家としてのマクシム・ゴーリキイ」
・・・同時にそれぞれの地方の或る程度の宣伝にはなるが、このことを目撃し、助力した多くの青年、少年達は、投票ということに対して、どのような観念を得るか。時代は投票の純潔さを益々必要とするのに、実際は、公機であるべき新聞が先棒でその逆が勝利を占めるこ・・・ 宮本百合子 「夏遠き山」
・・・今日改正されたような民法は明治三十年の初め、日本が未だ資本主義興隆期に向っていた時代に、ブルジョア民法として福沢諭吉が強く主張していた折に改正されれば、いくらかは社会生活の現実で女性の実際の助力となり得たろう。きょうではあまりおそまきな、結・・・ 宮本百合子 「人間の結婚」
・・・ 二、本当に人間の小怜悧さ以上のものの力が宇宙に充満していると直感した心の素直さ謙遜さ、無慾さ、それによって他人の欠乏苦痛を正直に考慮し助力しようとする智慧。〔一九二三年十一月〕・・・ 宮本百合子 「廃したい弊風と永続させたい美風」
出典:青空文庫