・・・直接生計の不安のない夫人たち、家事はほかのひとにまかせることのできるだけゆとりある社会的環境の女の人々がある意味で進出して来ています。これは、今日の文学そのものの問題も一面にふくんではいるが、そういう条件をもった婦人たちの文学の仕事ぶりと、・・・ 宮本百合子 「現実の道」
・・・ 何卒よろしくおつたえ下さいませ 八日百合子 高根包子様 一九四七年五月二十七日〔岡山市内山下四番地 岡山県第一岡山中学校政経部宛 駒込林町より〕一、民主的な社会生活の方法を身につける、ということが最も重・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・質素で濫費をせぬから、生計に困るようなことはないが、十分に書物を買うだけの金はない。書物は借りて覧て、書き抜いては返してしまう。大阪で篠崎の塾に通ったのも、篠崎に物を学ぶためではなくて、書物を借るためであった。芝の金地院に下宿したのも、書庫・・・ 森鴎外 「安井夫人」
出典:青空文庫