・・・そして、千八百万人の文盲を清算しつつある。既に一九二八年には百三十六万五千余人が、完全に文盲をすてた。――都会人口の九三パーセント、農村人口の七九・四パーセントが過去の知的暗黒を追っぱらいつつあるのだ。――サア、本を! 新聞を!・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・「あのくらいの大物で、あんなに何も彼も清算するのは近来ないそうだ、びっくりしていたよ」「…………」 六十日以上風呂にも入れず、むけて来る足の皮をチリ紙の上へ落しながら、悠然とかまえてることさと云う時、その主任の云ったことを焙るよ・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ジャーナリズムの一九四九年型花形には青酸っぽい現象が少なからずあるのだから。 労働組合のすべての人にきいてみたいと思う。一九四九年度の公安条例。九原則。人員整理、失業とのたたかい、越年資金闘争のすべては「その大部分がいかにもあいまいで、・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・モスクワ人は正餐を午後の五時すぎ、つとめ先から帰ってたべる。寝るまで、せめて茶とソーセージののっかったパン位は食べたい。故に、五十カペイキ 飲食費 計 一ルーブル七十二・五カペイキ 五人だと八ルーブリ六十二・五カ・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・弁証法的方法のスローガンなんぞは全く誤謬であった、したがって、プロレタリア文学の階級性の主張も誤っていたのだ、という考え方はプロレタリア文学運動のそれぞれの段階を、全体的な発展の上に見ることのできない清算主義的な態度であるし、またプロレタリ・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・を催し、そこの婦人記者となった長谷川寿子は、自身の略歴を前書にして「遂に過去の一切の共産思想という運動を清算し」大谷尊由に対談して、長谷川「歎異鈔なんか拝読いたしますと『善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや』と書いてありますから、吾々共・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・の連中の爪先で踊る技術からぬけ出られなかったと同時に、このプリマドンナ・ソロイストの個人主義を清算しきれなかった。第三幕目大詰は、ソヴェトの生産の拡大、社会主義の前進、ウラー! ソヴェト市民の日常は一九二九年末、新しい光りで照らされている。・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・こう三皿で「正餐」となってるが、もちろん、三皿食うときばかりはない。 財布と相談だ。但、スープにしろ、ソヴェト同盟のスープは汁だけではなく、みがうんと入ってる。キャベジ、人蔘、ジャガ薯、肉片。魚スープもあり、量がひどく多くて、慣れないう・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・五ヵ年計画によってソヴェトに於ける社会主義的社会建設の為め大飛躍と大努力を続けていると同時に、芸術の方面もこれにつれて最近二年間に種々のものを清算し内容的に新たなものを加えた。 例えば、日本にピリニャークが来た時代はソヴェト文壇はよい作・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの現状勢と芸術」
・・・という悽惨きわまりない絵がある。彼の年とったおかっぱの顔にある不安をながめて、彼はあの絵に追われているという感じがした。その絵が自分をつかまえないうちに、早く! 早く! そう思っている不安のように思えた。 巖本真理のおばあさんは明治初期・・・ 宮本百合子 「手づくりながら」
出典:青空文庫