・・・ソヴェトは『文学新聞』『労働者と芸術』などの上で常に活溌にいろんな問題を批判し清算しつつある。それをまるで箇人的に黒島一人ひっぱり出して、おまけに日本刀をこねまわしたなんてことは、幹部派がどんな非マルクシズム的イディオロギーをもってるか、雄・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・という文字をこのむ女には、われわれが清算しようと努力する過去の階級的遺物がきっとある。題を、スッパリ分りやすくすることによって、先ず雑誌の啓蒙的立場を明かにしようではありませんか。〔一九三一年五月〕・・・ 宮本百合子 「「女人芸術」か「女人大衆」かの批判について」
・・・ 日本におけるプロレタリア文化運動が進展するにつれ、『戦旗』『婦人戦旗』編輯局は急速にその欠点を清算した。そしてプロレタリア大衆雑誌として一層効果的な、健全な活動を開始しはじめると、官憲の圧迫は想像以上に猛烈となり、合法的な『戦旗』『婦・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・中途半端な人道主義はイザと云う時、役に立たないと云うことを知ったところは犬養健の部分的な賢さだが、人道主義を清算して親父の秘書となって政友会に納まった所に、彼の決定的な階級性の暴露と見透しのきかないブルジョア・イデオロギーの具体化とがある。・・・ 宮本百合子 「ブルジョア作家のファッショ化に就て」
・・・まだ多くの清算すべき分子と技術上の未熟練がある。だが、今年プロ美術展を見た人々よ! 来年を注目しろプロレタリアート解放運動における一歩の進展はきっと諸君の若い画かきをもまた一歩進めずにはいないのだ。〔一九三〇年十二月〕・・・ 宮本百合子 「プロレタリア美術展を観る」
・・・あますところなく自己批判し、過去の誤りを清算し、新しく正しい階級的立場に立って、芸術活動をつづけて行くためには、どうしたって、団体内の容赦ない互の討論、決議で前進して行くしかない。しかも、「文戦」の内部組織は、いわゆる下からの意見を通し客観・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・そのために毒薬さえすらりとのまされた。青酸加里を毒物と知っている人民も、政府予算の八五%は働く人民の懐からまき上げるという、間接殺人は頂いて、更に二百万人の馘首をしようとしている保守政府を頂いてもよさそうな輿論を示すものさえある。中毒する大・・・ 宮本百合子 「目をあいて見る」
・・・人生の或る深刻な危機、モメントとして、それだけのことは諒解されるとして、そのひとが、その主観に立って、進歩的世界観に立脚する新たな恋愛論として、移行論或は清算論めいたものを主張することは、はたして当を得ているであろうか。健康な、十分の社会性・・・ 宮本百合子 「もう少しの親切を」
・・・というが、どんな成算をもっているのだろうか。元大審院部長・元司法次官三宅正太郎という人が、中央労働委員会の会長に就任した。これは、世界にも類のない民主化の方法である。 同時に主要食糧供出に対する強権発動のことが云われている。申告すべき退・・・ 宮本百合子 「モラトリアム質疑」
・・・労働者階級が、かりに自身の仲間、協働者である農民、小市民、インテリゲンツィアなどの革命的価値を清算主義的に見るならば、抑圧の側にとってこんな好都合なことはなくなる。労働階級は孤立し、孤立は無力を意味し、解放は実現されることがおくれるばかりで・・・ 宮本百合子 「両輪」
出典:青空文庫