・・・世界のプロレタリア文学運動は、世界のブルジョア文化とその文学の創造能力の矛盾と限界を見いだして、人類史の発展的モメントとして現世紀に登場している勤労階級の生新な創造性を自覚したところに生れたのであった。 二八年ころ、日本の進歩的社会科学・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・わたしたちの眼がぱっちりと見ひらかれないで、睫がやにで半分閉されているようなとき、その眼を美しくするために冷たい水でもって眼をお洗いなさいというようなことを美容法では忠告しています。清新な眼を見ひらいた美しい匂やかなまなざしを、わたしたちは・・・ 宮本百合子 「自覚について」
・・・ 或る小説に或る時代の反応が明かに提出されているということだけが芸術家を成仏せしめるものでもないし、読者に清新な精神の風を吹きおくるものでもない。現代のインテリゲンツィア作家は、自分が現実にどういう反応を示しているかということについ・・・ 宮本百合子 「数言の補足」
・・・日に日に新たなる日本であるから、新日本主義も響きとして生新なようでもあるが、日本文学を新たな角度から把握しようとするその態度・方向においては、その非科学的・非歴史的ロマンチシズムに対して、すでに夥しい疑問が一般常識の裡から発せられているので・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・生活そのものに生新溌剌な意欲が漲って、文学でも新しい境地の開拓が自然に人々を誘っているような時代、批評の精神も沈滞していよう筈はないのである。 時代によって、人間の善意の表現も極々の転形を示すのだが、今日私たち日本の文学の成長の可能は、・・・ 宮本百合子 「地の塩文学の塩」
・・・描写の手法も長篇小説の分野に或る生新さを与えるものをもっている。フランス文学が「ジャン・クリストフ」を持っていることは、一つの誇りであるが、この「チボー家の人々」はその後の世代の姿を、描かれている内容によってばかりでなくその描きかたにおいて・・・ 宮本百合子 「次が待たれるおくりもの」
・・・過去十数年に亙った政府の精神圧殺方針に対して堅い内部抵抗の力を保っていて、今日、将に、その重石がとれ、生新溌剌な圧力の高い迸りを見せている部分も、明らかに存在している。だがこの節の一般文化面を見わたしたとき、私たちの率直な感想は、どうだろう・・・ 宮本百合子 「「どう考えるか」に就て」
・・・何か目をそらし何か正面から自身の心とさえ取組もうとしない今日の多数のインテリゲンツィアを、先ず自身の日常の可能の自覚の前にぴったりと引据えること、その任務こそ、ヒューマニズムが生新溌剌とした新文芸思潮として負うている任務の最も重大な一つであ・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・「世界のプロレタリア文学運動は、世界のブルジョア文化とその文学の創造能力の矛盾と限界とを見出して、人類史の発展的モメントとして現世紀に登場している勤労階級の生新な創造性を自覚したところに生れたのであった」といっているとおり。 今日課・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学の存在」
・・・構想雄大で行文はいわゆるプロレタリア的でない清新の美に満ちていると、さながらその社会的根拠とともに創造性をも喪失したブルジョア文学の陣営内に一人の精力的な味方を発見し得たかのような喝采を送った。 わがプロレタリア作家同盟および文学に関心・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
出典:青空文庫