・・・教育 一三・八 三九・九医業 二三・六 一七・〇経済生産 一五・五 二九・七芸術 一〇・一 五・五 現在工場に働き、しかも正常な予備教育はうけられなかった労働者、・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・泰子も出産の時、圧迫によって脳に出血したらしくて、その為こういう有様ですから小さい体のなかに正常に伸びる力とそれに伴わない神経の萎縮があるから絶えず不安で困るのでしょう。今日は私も、夜昼とり違えでないから気分もよく、かんしゃくも納っています・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・などにふれつつ作家としての仕事ぶり生活ぶりにふれた感想そのものの書きかた、現実の生活的な問題としての文学理論上の問題の捉え方そのもので、正常なリアリズムの発展的な方法を示してゆくよう努力しているし、そのために好評でもあると思われます。小説に・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・また一般的にはそのころの『近代文学』が主張していた個人の自我の確立の提唱と民主主義にさえも示される政治不信の気分を、正常な社会と文学の関係への認識におき直す仕事があった。したがって、この時期、文学と政治の問題は、十数年以前の昔にさえさかのぼ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 小林多喜二の生涯と文学とは、民主主義陣営の間においてさえも、まだ全面的な正常さでうけとられていると云えない。それは、最近行われた「小林多喜二的身構え」という言句をめぐる論争の性格を検べて見てもよくわかる。小林多喜二は人民解放史と文学史・・・ 宮本百合子 「小林多喜二の今日における意義」
・・・粉糖三合もったら養子に行くな、という云いならわしは一面で世情の機微を穿っていて、いくらかの財産があればあったで無ければ無いで、養う親ぐるみ娘を貰わなければならない次第が、結婚をむつかしくするのである。今日の若い婦人が生活の現実を観ている心は・・・ 宮本百合子 「今日の耳目」
・・・だからと云って号令につかうというのは、正常の頭では信じがたい。その信じがたいことを、美風としてその校長は考え、そう考えることは常規を逸して殆ど精神の病気であるのだから、児童の薫陶などはゆだねておけない事を証明するのだとは考えなかったのである・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・おくれた日本の映画製作の諸条件は、これからやっと正常な軌道にのせられるはずであるのに、東宝を先頭とする経営者たちは日本文化の課題としての映画製作事業の本質を全然理解しない。軍需会社で儲けたとおりの利率で儲けようとこころみている。この欲望は、・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・母はかくて母の清浄を守り、あなたのふるさとなる躯を、病と貧との中で、清く静かに生かして来た。これからも私に変りはないであろう。」『静かなる愛』はそういう特別な女の心、母の心の露が生活の朝夕にたまった泉のような詩集である。病みぬいた魂・・・ 宮本百合子 「『静かなる愛』と『諸国の天女』」
・・・床の間に並べ有之候御位牌三基は、某が奉公仕りし細川越中守忠興入道宗立三斎殿御事松向寺殿を始とし、同越中守忠利殿御事妙解院殿、同肥後守光尚殿御三方に候えば、御手数ながら粗略に不相成様、清浄なる火にて御焼滅下されたく、これまた頼入り候。某が相果・・・ 森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
出典:青空文庫