・・・十月十日に解放された徳田・志賀の名で発表されたパンフレット型の「赤旗」は重吉がかえって間もなく出版され、広い範囲での話題となっていた。其を読むほどの人々は、様々な期待、要求、満足、不満足に、おのずからこの十数年間濃くされて来た個人個人の気質・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・ 永田弁護士 村上さん 清瀬さん┌───────┐│ 山代弁護士 ││ 上野駅 │ 吉岡 └─────────┘ 自立会 畑の中の家 赤旗一号への感情 電気溶接学校ときい・・・ 宮本百合子 「「風知草」創作メモ」
・・・一つの村に赤旗が翻ると、もうそこには、村のクラブと文盲撲滅の学校が出来た。そこで機械がまわり、男女の労働者が働いている工場なら生産管理の工場委員会が男女労働者とその指導者によって組織されると同時に、文化部の活動がはじまった。「十月」以後・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・とりわけ元気に、赤旗を先頭に立ててきた一団の中にあの顔、見なれた若い女の人たちがいて、互に行列の中と歩道から思わず声をかけて手をとり合い、わたしは、もうほんの少しで行進の中にさらいこまれそうになった。 気がついてみると、きょうのメーデー・・・ 宮本百合子 「メーデーに歌う」
モスクワに着いてやっと十日めだ。 一九二七年のクリスマスの朝だが、どういうことがあるのか自分たちには見当がつかない。 ソヴェト同盟で、街じゅうが赤旗で飾られるのは春のメー・デー、十一月の革命記念祝祭などだ。 ク・・・ 宮本百合子 「モスクワの姿」
・・・そこで製作されるソヴェト・フォードは、小さい赤旗をヘッド・ライトの上にひるがえしつつソユーズキノ週報で先ず映画館の映写幕の上にころがり、つづいてモスクワの新造アスファルト道をもころがりはじめた。一九二九―三〇年に、モスクワの自動車の数は足り・・・ 宮本百合子 「モスクワの辻馬車」
・・・日本の社会において、一人の女酋長であった。日本の石器時代の氏族社会は、まだ総ての生産手段とその収穫とを共有していた時代で、氏族の中では男も女も平等の権利を持っていた。つまり男も女も等しい選挙権と被選挙権とを持っていたし、女の酋長というものも・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・社会主義が奮然として赤旗を翻す時、帝国主義は冷然として進水式をやっている。電車のただ乗りを発明する人と半農主義者とは同じ米を食っている。身のとろけるような艶な境地にすべての肉の欲を充たす人がうらやまれている時、道学先生はいやな眼つきで人を睨・・・ 和辻哲郎 「霊的本能主義」
出典:青空文庫