・・・ C先生、斯様にして心に満ちて来る希望と祈願とは、一層此国の婦人の有する権威に羨望を感じさせます。私は、人類として、婦人が、多くの法律的権利を持つ事も、経済的智識を持つ事も政治的権利を持つ事も歓びます。彼女等の生活を忘れない賢さ、其の真・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・非常な羨望をもって描いていた大人の世界の美くしい、立派な理想は、皆くだかれて、恐ろしい厭わしい事物に満ちた「うき世」が彼女の前に現われたのであった。 今まで何も知らずに打とけて、思うままを話し合っていた仲間にも、彼女は「気をつけなければ・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・と略同じ頃書かれている虚子の有名な「風流懺法」等と比べると農村生活に深い根をもつ節独特の稟質がうかがわれるのである。 写生文派は写実主義文学にうつり、今日現実を更にその有機的諸関係につき入って描こうとする現実主義が問題となって来ている。・・・ 宮本百合子 「「土」と当時の写実文学」
・・・「何に対しても羨望ということがなくて、唯、知りたいっていう心だけ在る人間のことを云うんだ……」 ゴーリキイは、これは当っていないと思う。だが、彼の天質に蔵されている健全な生活力が、この虚無的な雰囲気との摩擦の間に、一つの新しい疑問の・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫