・・・マリアはその一台を自分の専用にした。 戦傷者で溢れた野戦病院から、放射線治療班の救援を求める通知がキュリー夫人宛にとどく。マリアは大急ぎで自分の車の設備を調べる。兵士の運転手がガソリンをつめている間に、マリアはいつもながらの小さい白カラ・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人」
・・・「鶏舎専用」などと書いて居る。 可愛らしい事だと思って見て居ると、バタバタ、バタバタ一人ではねくり返って居た八つの子がそばによって来て私の□□(を見てくれと云う。 手を引っぱられて金網の外からのぞくと、拇指位のやせたのが三つ四つ見え・・・ 宮本百合子 「後庭」
・・・やっぱり古典は大したものだ、という風にむしろ、既成の勢力に従順になってゆく方向でうけいれられ、その社会心理は、日本ローマン派の亀井勝一郎、保田与重郎などをいつしか日本民族の優秀と絶対主義を宣揚する「古典」崇拝に導いて、「桂冠詩人としての日本・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・料理場で働いている連中には、専用の浴室があった。 モスクワ市内にだけでもこういう理想的な厨房工場を、五つも六つも増設し、五ヵ年計画の終りには都会入口の七割五分、農村の五割を公衆食事で養おうという勢いだ。 もう一つ、いかにもソヴェト同・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
出典:青空文庫