・・・働く人々が文学作品を読み、味わい、批評するその過程に、いわゆる文学をよく知っている人が自然指導的な発言をするようになるわけですが、その時たとえその人が労働者でも案外文学に関してはブルジョア文学の文学的素養の範囲で文学的に批評を組みたてる傾き・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・と形容した生涯について、実に暖い理解と評価とをもってその研究を書いたブランデスでさえも、バルザックには、その真実に近づこうとする偉大な情熱、人間を描き得る驚くべき天才にかかわらず、「『教育と素養』とも言うべきものが欠けていた」と言わざるを得・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
ヘンリー・ライクロフトの私記の中に、 自分は、斯うやって卓子の上にある蜜も、蜜であるが故に喜んで味わう――ジョンソンが云った通り、文学的素養のある人間と無い人間とは、生者と死者ほどの違いがある。この蜜についても、若し私・・・ 宮本百合子 「無題(四)」
出典:青空文庫