・・・この衝突は文明が進むに従って、ますます烈敷なるばかりでけっして調停のしようがないにきまっています。これを折り合わせるためには社会の習慣を変えるか、肉体の感覚美を棄てるか、どっちかにしなければなりません、が両方共強情だから、収まりがつきにくい・・・ 夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
・・・ 朝廷には位を貴び、郷党には齢を貴ぶというは、政府の官職貴きも、これをもって郷党民間の交際を軽重するに足らずとの意味ならん。いわんや学問社会に対するにおいてをや。政府の官途に奉職すればとて、その尊卑は毫も効なきものと知るべし。仏蘭西の大・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・におもふ慈母の恩慈母の懐抱別に春あり春あり成長して浪花にあり 梅は白し浪花橋辺財主の家 春情まなび得たり浪花風流郷を辞し弟に負て身三春 本をわすれ末を取接木の梅故郷春深し行々て又行々 楊柳長堤道漸くくれたり矯首はじめて見・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
・・・ ストライキは会社と警察を手古摺らせたが強制調停で終った。出征兵士は欠勤とし軍隊の日給をさし引いた賃銀を支給すること、各駅にオゾン発生器をおくこと、宿直手当、便所設置その他を獲得し、婦人従業員の有給生理休暇要求は拒絶されて女子の賜暇を男・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ 同志藤森と林とは何故論文批判の中心をその科学的検討に置き得ず、中條への個人的攻撃に集中し、同志藤森においては自身の調停派的態度を明らかにし、同志林にあっては、階級的運動内にあってそれがある種の危険とされている方向へまで自身を暴露するに・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 昭和七年の争議では強制調停によってクビになった連中が、今日、あの当時からみると三円もやすくスキャッブに呼び出されている。それらの人々はどんな心持で乗車しているだろう。千何百名とかに、電気局は召集の電報を打ったそうだが、その人をばかにし・・・ 宮本百合子 「電車の見えない電車通り」
・・・それにもかかわらず、右翼日和見主義者とその眷族調停派たちは、自身の誤謬を固執し、作家同盟の一部の同志は、同志小林の指導的批判に対していささかも科学的根拠のないデマゴギー的漫罵をわめきたてさえしたのである。 同志小林の克己と努力とは遂にそ・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・ラルフ・バンチ博士はパレスチナ紛争調停の功によって、黒人として初のノーベル賞受賞者である。 バンチ博士の話の中で次の数行に関心をひかれた人は少くないだろうと思う。「人間は社会関係の方面では、自然科学の方と同じような天才を示さない」「自然・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・国民文芸会有志の熱心なる調停に動かされ、和解す。その際松竹より提出せし金円は著作権法改正運動に使用する条件を附して劇作家協会に寄附する。 一九二六年。劇作家協会と小説家協会とを合同せしめ、新に文芸家協会を作ることに尽力す。この年、四十歳・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
出典:青空文庫