・・・芸術的完成、生き生きとした芸術的形象というものは、その作品が芸術的感銘を与えるために必須な条件と見られてはいるが、翌年この理論の発展として云われた新しいリアリズムの提議では、新しいリアリズムの本質を十九世紀以降の個人主義に立つリアリズムと異・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・ 漫然と超階級的なスローガンであるかのように作家の間に使用される影響のしかたで、意味ふかい社会主義的リアリズムの提議は日本に紹介されたのであったろうか。私ははからず率直にかかれた数行をよんで沈思せずにいられなかった。 今日の現実・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・これは、複雑な問題をふくむ提議だ。提案は研究され、生産場面との結合は大切であるが作家を産業別にグループわけすることは、文学活動を固定させる危険があるから適当でないと結論された。ソヴェト作家はこの時期に別に一つの意義ある進歩をした。プロレタリ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・いろいろな問題を提議するから、割合にそういう点は安心である。 例えば労働者を解雇する場合、工場の生産の低減をしなくてはならぬ已を得ない場合、労働者が工場に対して窃盗を働いた場合、それから三ヵ月以上収監された場合、そういうものは無断で解雇・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・それならば私は、もうA家の者になったのだから、良人の家に移るのが当然であり、Aが、結婚した以上、其位の責任は持つ覚悟だろうと、母上が提議されたのであった。 今、その時分のことを思い出すと、自分は、眼をそむけたいような心持さえする。 ・・・ 宮本百合子 「小さき家の生活」
・・・を闘いとろう、警察へデモをやろう、と代表を選んで提議して来たほどです。 婦人大衆の支持はこんなにまである「働く婦人の夕べ」を、官憲は何故めちゃめちゃに弾圧するのでしょう? その理由は、われわれにとって面白くためになる『働く婦人』が毎号発・・・ 宮本百合子 「日本プロレタリア文化連盟『働く婦人』を守れ!」
・・・××さんが提議して大きな西瓜が切られた。かれこれもう一時過ぎているのに西瓜の盆をかこんで活溌に討論し、陽気に笑い「さ、そろそろ帰るべ」とは云いながら誰ひとりランプの下から動かない。婦人部維持費五銭積立の件、××さん出産祝の件、組合内に購買組・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・と提議した。 Aも、黙ってこそは居るが、同じ心持らしい。早速承知をし、吉田さんの処へ行って相談をまとめた。大晦日の七時頃から、夜中まで、皆で賑やかに、笑い騒ごうと云うのである。 それで先ず大晦日の苦しさから丈は逃がれられた。正月・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・ 夢の定義 生理学の夢の定義は、夢とは催眠中の記憶が現識の中に呼び起されたものだと云う。してみれば、夢の中の妻の行為は良人にとっては重大なことである。 夢の効果 愛人を喜ばすには、「私は昨夜あ・・・ 横光利一 「夢もろもろ」
出典:青空文庫