・・・の能動精神は、当時文学の置かれていた所謂文壇的雰囲気の狭さ、無気力さ、非行動性に満足しない感情、即ちこの人生と文学とに対してより積極的な、能動的な人間性の発露を目標としたのであったが、この能動的精神の提唱者たちは、自身の提唱を一つの実際的な・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムの諸相」
・・・ツィアや小市民的な技術家が勤労者として精神的にも再教育されて来たソヴェトの社会的現実の上に立って、芸術の創作方法としての社会主義的リアリズムが称えられて来ているのであるが、日本では異った事情の上にその提唱が受け入れられた。そして、文学の面で・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・ 今日の電力不足は旱天が大半の理由でありましてと、勝逓相の答弁が始められると、議場にどっと笑いがおこり、傍聴席も何となし口元をほころばした。 藤原銀次郎という名に対して、あの演壇に立っての柔らかな声、物腰とは、会社の会議じゃないのだ・・・ 宮本百合子 「待呆け議会風景」
・・・生あるものは総てかく低唱しつつ厚き帳のかなた身じろぐ夜の精を見んと行手すかしつつさぐり見るなり無限の闇の広き宙には乾坤の敗者の歎きと勝者の鬨の声と石棺の底より過去を叫ぶ亡霊のうごめき奇しき形に其の音波・・・ 宮本百合子 「夜」
出典:青空文庫