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・・・で、何物にも屈伏することを好まない青年の自尊心を感じることの出来る者達程、此の日の二人の乱闘の原因も、所詮酒の上の、「箸で突いた」程度のことから始まったと自然な洞察を下して、また酒盃をとり上げた。 併し此の噂は村の幾宵を騒がせた。そして・・・
横光利一
「南北」
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・・・複雑に結びついた感情ほど不安を起こす程度がはなはだしい。 しかしこれらの感情のすべてが一個人に集まるのは、ただ彼に対してのみである。それゆえに彼は何人よりも激しく私を不安ならしめる。私は一人でいて彼の名を思い浮かべただけでも、もういらい・・・
和辻哲郎
「生きること作ること」