・・・当惑と一種の焦慮とをもって問題はおこっていて、一つこの矛盾を大いに克服しようではないか、そのためにはわれらの置かれている現実をまず分析しよう、討議しよう、さあ……諸君! という、気組みの引立ちが欠けている観がある。 特に率直にいえば、一・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・級の討議で決定する。――ソヴェト同盟で教師は、ほんとに指導者なのだ。 このように有効に組織されている小学校へ、全同盟の学齢児童を経費国庫負担で包括しようというのがソヴェト同盟五ヵ年計画文化活動の一大事業だ。 何しろ、帝政時代のロシア・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・そこでは作家・評論家によって、文化・文学について具体的な討議がされるよりも、特殊な、文化活動家と名づけられる人々の、その人たちの理解での政治的発言が圧倒した。 これは、明らかに普通でない空気であった。まじめに文化・文学の運動にしたがい、・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・研究し、討議され、なっとくを深める機会を得ずにきている。日本のプロレタリア文学運動が兇暴な嵐に吹きちらされた一九三二年以来、当時、未熟なら未熟なりの誠実さで論じられていた諸課題が、討論されている最中であったその姿のままで、ちりぢりばらばらに・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・「大衆の批判というものがどんなものか、我国の場合で考えても、志賀直哉と吉川英治を国民大衆の討議にかければ、後者が選ばれること論をまたない」と。 小原壮助が、社会機構や生活感情のすべての、まるでちがう「我国の場合」を躊躇なく例としてひいて・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・ もしチェホフの劇作が、真直、ロシアの魂の或る時に迫っているものでなかったなら、桜の園その他の上演が、何故、現代において心理的の問題として討議されるだろう。あの夜、一つ一つの座席を埋めた数千の見物は、兎に角自分達の中にあるロシア魂にぴっ・・・ 宮本百合子 「シナーニ書店のベンチ」
・・・ 大正十五年二月には婦人参政建議案が衆議院で可決され、昭和二年の全国高等女学校長会議で、婦選問題が討議されたという事実は、今日の議事題目とくらべて何というちがいであろう。 昭和四年には、政友民政ともに婦人公民権承認に立ち、この年の一・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・これらは彼らによって討議された文学における行動性、指導性、民族性の問題にふくまれている危険であるが、この座談会で、ただ一つ文学にとって積極的なモメントとなり得る諸氏共通な欲求が認められた。それは「文学が怒りを持たねばならぬ」ということにおい・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・ 第三回大会はもり沢山の大会で、この重要な提案が時間たらずでしりきれとんぼになったばかりか、さらに次の日、ひきつづいてこの問題を討議することもされなかった。大会の空気は何となし散漫だった。「勤労者的なものを無意識にしろさえぎる空気は、新・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・ 討議という意見の発表と研究の方法を日本の人民は学ぶべきであるといわれはじめてから、まだ五年しかたたない。五年後のきょうの実状をみると、日本の一般には開放的でまた探求心のつよい討議の習慣がつくられるよりも早く、過去の半封建的日本のモラル・・・ 宮本百合子 「地球はまわる」
出典:青空文庫