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・・・数馬と多門とは同門のうちでも、ちょうど腕前の伯仲した相弟子だったのでございまする。」 治修はしばらく黙ったなり、何か考えているらしかった。が、急に気を変えたように、今度は三右衛門の数馬を殺した当夜のことへ問を移した。「数馬は確かに馬・・・
芥川竜之介
「三右衛門の罪」
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・・・この霊屋の下に、翌年の冬になって、護国山妙解寺が建立せられて、江戸品川東海寺から沢庵和尚の同門の啓室和尚が来て住持になり、それが寺内の臨流庵に隠居してから、忠利の二男で出家していた宗玄が、天岸和尚と号して跡つぎになるのである。忠利の法号は妙・・・
森鴎外
「阿部一族」