・・・福地桜痴、末松謙澄などという人も創業時代の開拓者であるが、これらは鍬を入れてホジクリ返しただけで、真に力作して人跡未踏の処女地を立派な沃野長田たらしめたのは坪内君である。 有体にいうと、坪内君の最初の作『書生気質』は傑作でも何でもない。・・・ 内田魯庵 「明治の文学の開拓者」
・・・旧友――という人は数々ある中にも、この原、乙骨、永田、それから高瀬なぞは、相川が若い時から互いに往来した親しい間柄だ。永田は遠からず帰朝すると言うし、高瀬は山の中から出て来たし、いよいよ原も家を挙げて出京するとなれば、連中は過ぐる十年間の辛・・・ 島崎藤村 「並木」
・・・彼女は手間をかけて信玄袋の口をあけ、中から長田の女隠居のくれた頭巾と着物を出した。「――これを御隠居さんにいただきましたよ」 植村の婆さんは、婆の慾ばりが憎いような心持がした。人に見せ、此位にしてやる人もあるのだと思わせ沢山貰おうと・・・ 宮本百合子 「秋の反射」
・・・日本からは、松山、永田という二人の同志が出席した。 革命文学国際局はこの会議を機会として組織がえを行った。国際革命作家同盟となった。これまでよりは一層緊密な国際的規模で各国のプロレタリア文学活動が出来るようになった。 国際的にこ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 直三の妻つや より└ 子供 昭夫 三歳 治郎 二歳┌ 前の家 沢田 かじや└ の町の風景┌姫路 戸田屋の二階│ 播州平野の馬車│└永田さん・・・ 宮本百合子 「「播州平野」創作メモ」
・・・ 永田靖氏は幕の内の連中の批評は聞くが、一般の批評を聞いて取り組むという気がないと率直に語っておられます。また、滝沢氏が、夜を徹して芸談をするのは真に批評に対し困難を感じ、もがいているからだと言っておられます。永田氏は、僕等の芝居の批評・・・ 宮本百合子 「一つの感想」
重吉 ひろ子 富井 行雄 伸一 健吉 小枝 永田弁護士 村上さん 清瀬さん┌───────┐│ 山代弁護士 ││ 上野駅 │ 吉・・・ 宮本百合子 「「風知草」創作メモ」
・・・僕はふいと床の間の方を見ると、一座は大抵縞物を着ているのに、黒羽二重の紋付と云う異様な出立をした長田秋濤君が床柱に倚り掛かって、下太りの血色の好い顔をして、自分の前に据わっている若い芸者と話をしていた。その芸者は少し体を屈めて据わって、沈ん・・・ 森鴎外 「百物語」
出典:青空文庫