・・・けれども、第二のナンを用ってあらわしてある方が、もう少し私には安心な心持がし、又日本の目下の警察ではあれを許しはすまい。 ト翁が、代りに用っていいとして第二の方を書いて置いて下すったことを感謝する。 ○雨がひどく降って居る故か、・・・ 宮本百合子 「「禰宜様宮田」創作メモ」
・・・東條を頭目とする日本の戦犯者の国際裁判の最終日に、キーナン検事が、「正義を伴わない文明は背理である」といった言葉のうちには、人類の正義への評価があった。第一次大戦後、平和のための国際連盟にアメリカが、最大の能力をもちながら加入しなかったこと・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・東條を頭目とする日本の戦犯者の国際裁判の最終日に、キーナン検事が、「正義を伴わない文明は背理である」といった言葉のうちには、人類の正義への評価があった。第一次大戦後、平和のための国際連盟にアメリカが、最大の能力をもちながら加入しなかったこと・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・一八三二年六月五日、六日ラマルク将軍の葬式に際し60フランかせぎたい 一個人間として自信をもちたい)○リュシアンはナンシーにゆく。陰気で保守的な反政府的な反ブルジュア的な王党派の町。くさるリュシアン○小麦商ボナール氏のところに部屋を・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
・・・一八三二年六月五日、六日ラマルク将軍の葬式に際し60フランかせぎたい 一個人間として自信をもちたい)○リュシアンはナンシーにゆく。陰気で保守的な反政府的な反ブルジュア的な王党派の町。くさるリュシアン○小麦商ボナール氏のところに部屋を・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
・・・復活してからは、下手ながらに著作をしているので、議論なんぞは出来ないのである。 その日の文芸欄にはこんな事が書いてあった。「文芸には情調というものがある。情調は situation の上に成り立つ。しかし indfinissable・・・ 森鴎外 「あそび」
・・・そんな時はツァウォツキイも「ああ、おれはなんと云う不しあわせものだろう」とこぼしている。 ある時ツァウォツキイの家で、また銭が一文もなくなった。ツァウォツキイはそれを恥ずかしく思った。そしてあの小さい綺麗な女房がまたパンの皮を晩食にする・・・ 著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外 「破落戸の昇天」
・・・和女とて一わたりは武芸をも習うたのに、近くは伊賀局なんどを亀鑑となされよ。人の噂にはいろいろの詐偽もまじわるものじゃ。軽々しく信ければ後に悔ゆることもあろうぞ」 言いきって母は返辞を待皃に忍藻の顔を見つめるので忍藻も仕方なさそうに、挨拶・・・ 山田美妙 「武蔵野」
・・・「ほんに、お前安次やったのう。なんと汚い身体になったもんやないか。触ったら苔がめくれて来うが?」「お母を呼んでくれんか?」「今日はおらんぞ。お前これから何処へ行くつもりや?」 秋三は柴を下ろしながらそう云うと安次の傍へ蹲んだ・・・ 横光利一 「南北」
・・・あの男のどこが、こんなに己の注意を惹いたのだか、己の部屋に這入っていた時間が余り短かったので、なんとも判断しにくい。目は青くて、妙な表情をしていた。なんでもずっと遠くにある物を見ているかと思うように、空を見ていた。悲しげな目というでもない。・・・ 著:ランドハンス 訳:森鴎外 「冬の王」
出典:青空文庫