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・・・甚五郎は運よく鷺を撃ったので、ふだん望みをかけていた蜂谷の大小をもらおうと言った。それもただもらうのではない。代りに自分の大小をやろうというのである。しかし蜂谷は、この金熨斗付きの大小は蜂谷家で由緒のある品だからやらぬと言った。甚五郎はきか・・・
森鴎外
「佐橋甚五郎」
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・・・フロベニウス自身が指摘しているように、人類の文化の統一は、ただこのような理解を通じてのみ望み得られるのである。 自分はこの書を読み始めた時に、巻頭においてまず強い激動を受けた。それは自分がアフリカのニグロについて何も知らなかったせいでも・・・
和辻哲郎
「アフリカの文化」