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・・・御飯はすぐ嘴の下にある。パッパ、チイチイ諸きおいに歓喜の声を上げて、踊りながら、飛びながら、啄むと、今度は目白鳥が中へ交った。雀同志は、突合って、先を争って狂っても、その目白鳥にはおとなしく優しかった。そして目白鳥は、欲しそうに、不思議そう・・・
泉鏡花
「二、三羽――十二、三羽」
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・・・あっぱっぱのはだけた胸に弁当箱をおしつけて肩をゆすりながらくる内儀さん。つれにおくれまいとして背なかにむすんだ兵児帯のはしをふりながらかけ足で歩く、板裏草履の小娘。「ぱっぱ女学生」と土地でいわれている彼女たちは、小刻みに前のめりにおそろしく・・・
徳永直
「白い道」