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・・・は熔岩流が山の谷や沢を求めて合流あるいは分流するさまを暗示する。「またその身に蘿また檜榲生い」というのは熔岩流の表面の峨々たる起伏の形容とも見られなくはない。「その長さ谿八谷峡八尾をわたりて」は、そのままにして解釈はいらない。「その腹をみれ・・・
寺田寅彦
「神話と地球物理学」
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・・・ここから流れ出すものがたくさんな樋に分流しそれにいろいろの井戸から出る水を混じて書物になり雑誌になって提供される。温度の下がらないうちにと忙しい人の手で忙しく書かれた著書や論文が忙しい読者によって電車の中や床屋の腰かけで読まれる。それで二三・・・
寺田寅彦
「丸善と三越」