・・・それは最新化学兵器についてのニュースだった。おそろしい化学力をもつその兵器の効果は、すべての人類をたちまち醜い不具にして、死滅させる威力をそなえているものであると説明されている。それを公表しているのはイギリスの学者であった。 わたしはそ・・・ 宮本百合子 「権力の悲劇」
・・・現代の科学兵器で銃後というものはありません。この小さい海に囲まれた人口の多い日本が、万一超威力の近代戦にまき込まれたとしたら、どこによわい女、子供の安全な場所があるでしょう。 講和は私たちの生命の問題です。〔一九五〇年一月〕・・・ 宮本百合子 「講和問題について」
・・・こんにち世界で十数億の人民が平和と原子兵器禁止のために発言している。その過半数は婦人であり、第二次大戦の犠牲者たちである。ある人によれば、これらの婦人たちの性のクレイムが彼女たちの熾烈な平和への要求となっていると説明されるのかもしれないが、・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・どこでいつ行われようと無慙、野蛮でしかありようない現代のおそろしい兵器による戦争そのものがとりのぞかれようとしないならば、それにつづく事態ばかりをせめることは、歴史の発展のない、民族的自虐でさえある。歴史の現実にたいしてはっきりと目を開いて・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・ヒロシマ、ナガサキの経験を持つ日本の人々は何一つ罪ない人民をみな殺しにした原子兵器が世界のどこでもまたと使用されることがないようにストックホルムのアッピールへは数百万の人々が署名した。五億を越した署名の数のうち資本主義の国としては世界第三位・・・ 宮本百合子 「世界は求めている、平和を!」
・・・原子兵器を禁止し、それを最初に使用した権力を、人類に対する戦犯とすべきであるというストックホルムの平和大会アッピールは最近、益々そのアッピールの切実さが証明されつつある。日本でさえ六百万に近い署名をあつめた。そして、資本主義国としては、第三・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
1、文筆の仕事の上で、可能なかぎり、戦争反対と平和の確保、原子兵器禁止の態度を明かにして居ります。平和を守る会、知識人の会、民主主義擁護同盟に参加して居ります。科学者たちが、適切な共同声明を発表しているのに、文学者は、なぜそ・・・ 宮本百合子 「戦争・平和・曲学阿世」
・・・それから原子兵器は、現世紀の悪夢となった。国際政治に対して、あらゆる国の人民が重大な関心をむけ、原子兵器使用禁止のために集団的に発言しないではいられなくなった。なぜならナガサキの例をみてもヒロシマの例をみても、原爆で大量殺戮されたのは実に人・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・ せっかく平和に戦後の生活を建設しようと努力している世界の人々を、強大な破壊力をもった新兵器をつくり出して、気にいらなければいつでもそれをぶっ放すぞという風におどかしている者があるとすれば、そのような狂気こそ世界の人類の理性の力で、・・・ 宮本百合子 「願いは一つにまとめて」
・・・こんにちすでに十数億の人民が平和と原子兵器禁止のために結集している。 一九四六年から四七年の春頃までの第一期日本の文学が新しい成長をもってやけ跡から芽ばえるために、民主主義文学運動の中心として「新日本文学会」が組織され、雑誌『新日本文学・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
出典:青空文庫