・・・これらの若い人たちが自分たちの歴史の発展のいちばん確かな道として踏みしめてゆこうとしているのは、真実のある、男女がお互いに正直に協力し幸福に生きてゆく可能の保障された新しい社会関係をうちたててゆく道である。ほんとうに新しい人間らしい仕組みの・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・日本は今、非常な困難とたたかいながら、一日も早く民主の国となり、平和の保証された国となり、世界に再び独立国として登場するための努力をはじめております。 これからの私たち日本人は、世界に恥しくない市民として、どういう風でなければならな・・・ 宮本百合子 「新しい躾」
・・・という利口ぶったいいまわしに抵抗しなければ、どんな幸福も保証されません。日本の新聞は、なんと恥しらずに戦争挑発をしているでしょう。アメリカの科学者たちが、アインシュタインをはじめとして、人類の平和のための原子力の使いかたを主張していることは・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・世界の平和の確保のうちにめいめいの家庭の平和の保障が存在することを実感する主婦の感情こそ、日本の未来を明るく支える文化の感覚である。権力を失うまいとするものが、どんなに卑しく膝をかがめて港々に出ばろうとも、着実真摯な男女市民の人生は、個人と・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・ 本当にわたくしたちが社会で働き得ること、その働きによって、衣食住が保障されること、こういう生存の必要条件が合理的に保証されていなければ、最も長い時間裁縫工場で働かなければならない婦人が、着るに着られず生活しなければならない矛盾は解決さ・・・ 宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
・・・政府は、モラトリアムまで布きながら、今だに、軍需産業への補償というようなことを云っている。「欠損をしている」のは、帳面づらだけだと、誰にも分りきった軍需生産者、つまるところは、戦争で儲けつくした者たちに、何故か幣原内閣は、なおも追銭をやらな・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・原因と結果とは互に作用しあっているから、もしもすべての女性が妻であり母であることによって、いよいよ勤労生活に安定が保障されているような社会ならば、したがって、太い潮が細々とした流れを吸いあげてしまうような金づまりだの、手にもっている御飯の茶・・・ 宮本百合子 「権力の悲劇」
・・・突撃に加わり、一緒に泥をほじり、夜の歩哨にも伴れ立った。司令部とともに、視察した。前線での文学の夕べを組織し、即興芝居への台本を提供した。壁新聞を手伝った。 その演習後文学新聞に赤軍指導者の面白い批判が掲載された。 今度の経験によっ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・となる危険から保障されていると云えるものはない。一つの民族の社会と文学の健全にとっては、少数の西欧文学精神のうけつぎてが、自国の文学について劣等感に支配されつつ、翻訳文学であるならば、つとめてその優性をひき出すとしても、多くプラスするところ・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・ 女性の名誉と、経済的保障の為に制定された離婚訴訟に関する権利を、如何程の深い、価値ある態度で運用して居りますでしょうか。離婚後の扶助料を以て暗々裡に良人を威嚇しつつ同棲生活を続ける夫人連や、利己的の恥ずべき動機から離婚訴訟を起して、良・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
出典:青空文庫