一 彼は若い愛蘭土人だった。彼の名前などは言わずとも好い。僕はただ彼の友だちだった。彼の妹さんは僕のことを未だに My brother's best friend と書いたりしている。僕は彼と初対面の・・・ 芥川竜之介 「彼 第二」
・・・アル日、オ母ッチャガ、君チャンニ、マイバン目ヲサマシタラ、オ母ッチャヲユリオコシテミテクレ、イツソノママ死ンデルカ分ラナイカラ、ト云ッタ。ソレカラ、君チャンハヨナカニ目ヲサマスト、ブルブルフルエナガラ、何ンダカオッカナクテ、オ母ッチャトコエ・・・ 小林多喜二 「テガミ」
・・・「最早マイりましたかネ」と学士も笑った。 間もなく学士は高瀬と一緒に成った。二人が教員室の方へ戻って行った時は、誰もそこに残っていなかった。桜井先生の室の戸も閉っていた。 正木大尉も帰った後だった。学士は幹事室に預けてある自分の・・・ 島崎藤村 「岩石の間」
・・・ と冗談めかして言って、起きて、床の上にあぐらをかき、「ドンマイ、ドンマイ。」 夏の月が、その夜は満月でしたが、その月光が雨戸の破れ目から細い銀線になって四、五本、蚊帳の中にさし込んで来て、夫の痩せたはだかの胸に当っていました。・・・ 太宰治 「おさん」
・・・イチマイモ? アリマセン。 僕は急に、静子さんの絵を見たくなったのである。妙な予感がして来た。いい絵だ、すばらしくいい絵だ。きっと、そうだ。絵ヲ、カイテユク気ナイカ。 ハズカシイ。アナタハ、キットウマイ。・・・ 太宰治 「水仙」
・・・ir―whir―whir!Salisbury's countess, she would not dieAs a proud dame should―decorously.Lifting my axe, I split her ・・・ 夏目漱石 「倫敦塔」
・・・t your feet?Or any room at your side, Willie,Wherein that I may creep?”“There's nae room at my head, Margret,T・・・ 正岡子規 「死後」
・・・nae room at my head, Margret,There's nae room at my feet,There's nae room at my side, Margret,My coffin is made so・・・ 正岡子規 「死後」
・・・「おまえは英語はわかるかい、ね、センド、マイブーツ、インスタンテウリイすぐ長靴送れとこうだろう、するとカルクシャイヤのおやじめ、あわてくさっておれのでんしんのはりがねに長靴をぶらさげたよ。はっはっは、いや迷惑したよ。それから英国ばかりじ・・・ 宮沢賢治 「月夜のでんしんばしら」
・・・ 十八日 “She wanted to stay in her own room this evening, and so I decided to stay in too ! My dearest “Chame”, I don't・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
出典:青空文庫