・・・に同じ作者によって書かれている自分の家系の物語、愛子物語をあわせ読むと、舟橋氏のヒューマニズムが一般人間性の観念にあやまられ、血肉の情に絡まって今日、どのような洞に頭を向けているかが実に明瞭に分るのである。 このハッピー・エンドのヒュー・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・さんの投書と、「愛子」さんの投書の中に、共産党という三字があって、これを幸とつかまえられたのです。 四十日ばかり経つと、いつの間にか、調べの中心点がかわってきた。初め私は日本プロレタリア文化連盟のことで調べられていたはずなのに、今度はお・・・ 宮本百合子 「ますます確りやりましょう」
・・・そうしてこの寛仁な国司が十七年前に鷲にさらわれた愛子であることを、一歩ずつ老夫婦に飲み込ませて行く。それに伴なって老夫婦は徐々に歓喜の絶頂に導かれて行くのであるが、それはまた読者にとっても歓喜の絶頂となるのである。 三島の明神とはこの苦・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・たとえ自分の愛子であろうとも、不正を行なった点については、最も憎んでいる人間と何の択ぶ所もない。自分の最も愛するものであるがゆえに不正を許すのは、畢竟イゴイズムである。 先生は自分の子供に対しても偏愛を非常に恐れた。親の愛は平等であるべ・・・ 和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
出典:青空文庫