・・・ただ具体的な実例の取り扱いの中に黙示的に含蓄されているだけである。たとえば、ある一つの現象がたくさんの因子の共存的効果によって決定される場合に、いかにして各個の因子の個々の影響を分析すべきかというような問題に対するいろいろの方法が示されてい・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・の説教を与え、勤労階級には『赤と黒』『リベラル』その他の猥本類似の刊行物を氾濫させ、新聞は用紙不足で半紙ほどのものにした支配者たちの文化政策にたいして、心ある日本の市民が黙視できないのと同じことである。 ゾシチェンコ、アフマートヴァなど・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
終始末期を連続しつつ、愚な時計の振り子の如く反動するものは文化である。かの聖典黙示の頁に埋れたまま、なお黙々とせる四騎手はいずこにいるか。貧、富、男、女、層々とした世紀の頁の上で、その前奏に於て号々し、その急速に於て驀激し・・・ 横光利一 「黙示のページ」
出典:青空文庫