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・・・ 氷見鯖の塩味、放生津鱈の善悪、糸魚川の流れ塩梅、五智の如来へ海豚が参詣を致しまする様子、その鳴声、もそっと遠くは、越後の八百八後家の因縁でも、信濃川の橋の間数でも、何でも存じておりますから、はははは。」 と片肌脱、身も軽いが、口も・・・
泉鏡花
「湯女の魂」
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・・・ 私がまだねんねえで世間知らずの愚者でござった頃にはこの様な晩に出会う毎に寝間着のままで床にひざまずいて、僧正様のお祈りよりもそっと長い文句をくり返しくり返し血迷うた様に繰返してわけもない涙を身の浮くほど流いてのう貴方様、長い一夜をまん・・・
宮本百合子
「胚胎(二幕四場)」