・・・こういう問題も、わたしたちは、人民の基本的人権の擁護とブルジョア的な法律適用による裁判が果して公正なものであるかどうかについての絶え間ない注目とを基礎にして、判断してゆく必要がある。参議院の引揚援護委員会も吉村隊事件ではいかがわしい委員会の・・・ 宮本百合子 「「委員会」のうつりかわり」
・・・文章の上からだけいっても社会科学の用語が、小説のなかの生きた言葉になりつつある。生活の現実と実感がそこまでひろがって来ている。 新版のマルクス=エンゲルス選集は、現代作家のだれだれのところに置かれるようになるだろうか。マルクス=エンゲル・・・ 宮本百合子 「生きている古典」
・・・同時に浦和充子の事件その他たくさんの社会問題的な事件の本当に基本的人権を重んじた解決の方法というものは、その原因の一つとなる社会事情改善のための社会的行動そのものについて、基本的人権の擁護が実行されなければならないという点をおとすことができ・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・雷についての世界の探究にふれて語られていて、平明な用語は私たちに親しみぶかくこの本に近づけさせる。 第六話。山、氷河、および地殻の歴史を語られるにつれて、私たちの心によみがえるのはチンダルの「アルプスの旅より」「アルプスの氷河」などであ・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・しかし緊密であるというのは、歌のこころ、歌の世界がひしとうち出されてのことであって、格調を整える語彙というもの、用語法というもの、ましては型であってはつまりません。 短歌は日本の民族がもって来た文学のジャンルですから、それを破壊するより・・・ 宮本百合子 「歌集『仰日』の著者に」
・・・紅葉山人が、用語の上に非常な苦心をもって、新らしい試をされたのだけでも氏の遺業は大なるものであると尊ぶのである。 一葉女史にしても、そのまれに見る才筆にはいかなる賛辞も惜しまないのである。 けれ共、今云った様な事を感じたのは、かくす・・・ 宮本百合子 「紅葉山人と一葉女史」
・・・加盟団体あわせて一千万人の組織員をもつ民主主義擁護同盟は、組織の大きさだけの活力を発揮しにくい事情におかれていたが、それでも各地におこっている人権蹂躙の問題に具体的に働いた。 同氏が、「平和を守る会」に参加しないことや「知識人の会」に関・・・ 宮本百合子 「五月のことば」
・・・富農の勢力拡大と階級擁護のために、そのような名をかぶった一味がトラクターを富農の手に騙しとり、集団化を阻害しようとした。彼等がスローガンとした「工業化」の上へはもう一つ書かれぬ言葉、「反革命的」という文句があったのである。 ところで「パ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・の確立の主張の上に絵どる段階から成長して来て、日本の社会現実のうちで自我を存在させ発展させるそのことのためにも、日本ではすべての市民に共通な基本的な人権の擁護が必要であることが把握されはじめた。世界ファシズムと戦争挑発に対する抵抗を組織する・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・СССРでは女性が市民、勤労者としての権利に於て男性と全く対等である上に、プラス、母として性の擁護を法律によって完全に与えられている。 窓外はまだ零下十五度の厳寒である。凍った雪あかりが室内の白い壁にチラチラしている。 窓枠が少・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
出典:青空文庫