・・・結婚の自由もあるようになりました。離婚の問題も婦人に不利であった条件を、男子と同等なものにしようとされていますし、刑法の上で、特に婦人にだけきびしかった姦通罪が消滅しました。 その中心にまだ天皇一族の特権をひろく認めているような憲法が、・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・についても、民法の条文を引用して、離婚が「女大学」にいわれているような条件で成り立つべきでないことを説明している。益軒の「女大学」は、あらゆるところで、女は夫に仕えて云々という表現をしているのだが、福沢諭吉の開化の心は、主従関係、身分の高下・・・ 宮本百合子 「三つの「女大学」」
・・・三 ナポレオンはジェーエーブローの条約を締結してオーストリアから凱旋すると、彼の糟糠の妻ジョセフィヌを離婚した。そうして、彼はフランスの皇帝の権威を完全に確立せんがため新しき皇妃、十八歳のマリア・ルイザを彼の敵国オーストリア・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
・・・ 第二は、利根すぎたる大将である。利害打算にはきわめて鋭敏であるが、賢でも剛でもない。「大略がさつなるをもつて、をごりやすうして、めりやすし」。好運の時には踏んぞりかえるが、不幸に逢うとしおれてしまう。口先では体裁のよいことをいうが、勘・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫