・・・私はたしかに評判の通りシカゴ畜産組合の理事で又屠畜会社の技師です。ところが正直のところシカゴ畜産組合がこのビジテリアン大祭を決して苦にするわけはない。何となれば只今前論者の云われたようなトラピスト風の人間というものは今日全人類の一万分一もあ・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・文芸家協会は、大正年代に組織され、古い歴史をもつ日本で唯一の文学者の集団である。理事というところには、日本の代表的著述家・作家が顔をならべている。これらの人々の顔ぶれの世俗的に賑やかな体面上からも、日本の文学が瀕している危機にたいして黙って・・・ 宮本百合子 「ある回想から」
・・・自由党の竹内茂代女史が大日本婦人会の理事であったことは知らぬもののない名流女史であるし、校長、自由党支部長夫人、病院長などが出ている。進歩党その他の婦人代議士も、大体元代議士夫人、女流教育家、社長夫人、娘、重役、病院長、婦人会関係の知名婦人・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・者として働くことを肯じがたい心持の失望と苦悩、そういう久作の昔気質の職人肌なものの考えかたは女房友代への態度にも発揮されて最後にその久作も情勢の圧力と妻の情愛、仲間たちのさしのばす手、情理をわきまえた理事長の説得などによって今は軍需品をつく・・・ 宮本百合子 「「建設の明暗」の印象」
・・・月謝値上げによって学問の機会をうばわれる一方に、理事会案は学問と学内の自主をそこなう危険をもってあらわれた。学問の自由と日本の学問の自主性のために全国の高等学校、専門学校、大学、一一八校の学生たちは去る六月二十六日を期して学生ストライキに入・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・文芸家協会の理事会は、その動揺さえ感じない、益々わが身の安全を感じて安心している種類らしい。従って、生活問題としても、はっきりそれをとりあげる気組みは持っていないと見られる。文学者の問題として声明を発表するなどということは、存じもよらぬ程度・・・ 宮本百合子 「一九三七年十二月二十七日の警保局図書課のジャーナリストとの懇談会の結果」
・・・その西部で生れたアグネスが、カリフォルニヤ大学で、そこの理事会がインド人の講演に反対したことから、有色人種に対する研究心を刺戟され、永年に亙る人種的偏見への闘争をはじめていることはまことに面白い。アグネスは、自分が生きて来た経験から、自分の・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・軍需参与官やら、海軍司政官までが当選しているし大日本婦人会の理事で当選している婦人もある。 婦人代議士は、三九名も選出された。そして、今のところ、人気の焦点となっている。けれどもしんみりと考えたとき、私たち婦人のこころに湧いて来る思いは・・・ 宮本百合子 「春遠し」
・・・なぜなら、いまの憲法は、本極りのものではなくて、このごろ対日理事会で再審査されはじめています。日本の政府は狡猾で、新憲法発布のおまつりさわぎをしたりして、さも、いまの憲法がもうきまってしまったようにみせかけました。 ところが、そうでない・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
・・・これらの人々の考えかたの特徴は、作家の大衆に対する文化的指導性を自身の社会性についての省察ぬきに自認している点、及び、所謂俚耳に入り易き表現ということを、便宜的に大衆的という云い方でとりあげていて、従来の通俗文学との間に、画すべき一線のあり・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
出典:青空文庫