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・・・この離籍一条は後に譲るとして先ず淡島屋の祖先について語ろう。 淡島氏の祖の服部喜兵衛は今の寒月から四代前で、本とは上総の長生郡の三ヶ谷の農家の子であった。次男に生れて新家を立てたが、若い中に妻に死なれたので幼ない児供を残して国を飛出した・・・
内田魯庵
「淡島椿岳」
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・・・純夫が陽子の離籍を承諾しない事、一人の女が彼の周囲にあるらしいことなど告げられたのであった。純夫に恋着を失った陽子にそんなことはどうでもよかった。然し、事実は愛情もない、別々に生活している男女が法律の上でだけは夫婦で、しかもその法律が物をい・・・
宮本百合子
「明るい海浜」