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・・・その中に二銭の団洲と呼ばれた、和光の不破伴左衛門が、編笠を片手に見得をしている。少年は舞台に見入ったまま、ほとんど息さえもつこうとしない。彼にもそんな時代があった。……「余興やめ! 幕を引かんか? 幕! 幕!」 将軍の声は爆弾のよう・・・
芥川竜之介
「将軍」
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・・・弁護士界の長老である正木、長野、和光、吉田などをこめる十一名の弁護士がこの公判に参加している。これらの弁護士団は、「本件の如き憲法や新刑訴の趣旨を蹂りんしているのではないかと被告がすでに思っているような事件においては」「法令が適正に運用され・・・
宮本百合子
「それに偽りがないならば」