・・・ 第二次大戦は、ナチス・ドイツとファシズム・イタリー、日本の敗北を結果した。あやまった指導力に自分たちの運命をまかせたこれらの民族は、ドイツ人民がその悲惨において示しているように、きょうの世界文学の上に、自分たちのおそろしい経験を、人類・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・神々の時代と、十三世紀のイタリーが目のあたり甦って来る。素朴な人間神の活動、意欲、生死と厳しい地上社会のいきさつが、人類を置く精神の赫きに照されてはっきり 我ことと 思われるではありませんか。又、今日は哀愁の・・・ 宮本百合子 「初夏(一九二二年)」
・・・ ルネッサンスは、最も早く商業が発達して市民階級の経済的・政治的実力のたかまったイタリーに十四世紀からおこりはじめた。そして、フランス、イギリス、ドイツと全ヨーロッパに拡がって、それまでの中世的な暗い王権と宗教との圧迫から、自由にのびの・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・ 私に下すったのはイタリーのカメオが金の台にとりつけられている、極くさっぱりとした品であった。柔かみのある灰色地に白で肖像のついているカメオを、装飾のない金の座で単純にとめてある。其は、母が哀慕していた謙吉さんという人が、アメリカ土産に・・・ 宮本百合子 「白藤」
・・・限られた枚数の中で、詳細にふれることは不可能であるが、前者において、われわれがそれをこそイタリーとはちがう日本の特殊な資本主義発達の歴史の性質を示すところの日本のファッシズムの実相であると理解している社会的政治的現象を、村松五郎氏は、「本質・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・ドイツ・イタリー・日本。これらの国の女性は、ほんとうに有無をいわさず、愛情の懐から男たちを奪われ、野蛮と不条理で押しすすめた戦争のうちに愛する者たちを死なした。ファシズム・ナチズムの不条理と非人間らしさと戦って、それに勝利し、人間は最後には・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・ファシストのイタリーで青年たちは驚く程多数平和のための青年組織に組織されています。客観的な状勢が平和の可能をもっており、世界の人類がそれを望まない時日本の人だけが未開の国の人のようにまるでそれが地震か何かのように起るだろうか起らないだろうか・・・ 宮本百合子 「世界は平和を欲す」
・・・第二次大戦の過程そのもののうちに、世界の民主勢力が、ナチス・ドイツ、ファシスト・イタリー、日本をうち破った。その過程に、すでに世界の一部に片よってたまった巨大な資本そのものの欲望の矛盾がきざしていた。 第二次大戦ののちにつづいておこった・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・超国家主義の合言葉の下に、世界といえば日本のほかにナチス・ドイツとファシスト・イタリーしか存在しないように。――ラジオの子供の時間が、ドイツとイタリーは日本の親類ですと放送していた、あの女の声、あの男の声をわたしは忘れることができない。・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・ 一八七九年、ようやく二十を越したばかりのデュウゼは旅役者の仲間に加わってナポリへ行き、初めてテレエゼの役をつとめたが、二三日たつと彼女の名はすでに全イタリーに広まっていた。一か月の後にはツェザアレ・ロッシ一座の立て女優としてチュウリン・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫