・・・勤労階級そのものが自分たちをそこから解き放そうとしている封建的イデオロギーにたいして、各方面でともに闘わなければならないことを自覚した進歩的な文化活動家は、いわば自分を解放するためだけにさえも、日本の全人民の民主化に関心をもたなければいられ・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・だけど、合同する為には、各団体がイデオロギー的に清算しなければならないものが、たくさんにある。現にそうするべく努力し、試みている。 今年の秋から今まであった工場内の文学研究会――それは一日七時間労働で、五日週間故に五日に一度位――を生産・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの現状勢と芸術」
・・・民主主義文学の批評の方法は、この話にあらわれているようなばらばらの点をつなぎ合せて民主主義革命に献身する大衆の共通な文化財、イデオロギー的武器とすることではないでしょうか。 去年の大会でも云われた通り、それぞれの作家は、それぞれとしてか・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・まして日本みたいに労働者農民の政治的自覚がヨーロッパ戦争後世界経済界の変遷につれて急速に進展したところでは、プロレタリア文学発育の時間的に短い過去の中に極めてテンポの速いイデオロギー的躍進がつつみこまれてる。労農芸術家連盟が分裂して脱退派が・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・こういう風にイデオロギーを先にたてて、あとから創作をつけてゆく考えかたは、プロレタリア文学運動時代の考えかたである。こんにち、わたしは、本当に豊富な、リアルな文学を求めて現実に生き、そして創作しようとすれば、いやでも社会的な存在としての自分・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・ヨーロッパにくらべると二十年余もおくれてイデオロギー的に大衆化するや直に複雑多岐な暴力にさらされなければならなくなった日本の若いマルクス主義の活動家たちと、転向の問題とは骨肉的な関係で結ばれていると思う。運動が合法的擡頭をした時代に階級的移・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・人道主義はイザと云う時、役に立たないと云うことを知ったところは犬養健の部分的な賢さだが、人道主義を清算して親父の秘書となって政友会に納まった所に、彼の決定的な階級性の暴露と見透しのきかないブルジョア・イデオロギーの具体化とがある。直木も似て・・・ 宮本百合子 「ブルジョア作家のファッショ化に就て」
・・・ 資本主義のイデオロギーはそれが必然の過程として植民地搾取を包含する帝国主義イデオロギーである限り、本質的に「インターナショナル」は理解し得ないものなのだ。 三 ところで、ではプロレタリア文学は国際的展・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・ただイデオロギーとして社会主義が分ってきたばかりでなく、人間は幸福を求めているというなまなましく根強い実感、熱情そのものとして個人の人生も歴史の展望の中に見とおされて来たときの社会主義的リアリズムの創作方法。 文学の創作方法が社会の歴史・・・ 宮本百合子 「文学と生活」
・・・ロシア、中国、朝鮮の人民が文盲撲滅の第一頁においてソヴェト権力、抗戦救国、民族独立の文字を知らされてゆくのとはひじょうにちがいます。イデオロギーのたたかいは、日本においてますます複雑な課題となりつつあります。すべての専門家は、単に、大衆の文・・・ 宮本百合子 「文学について」
出典:青空文庫