・・・ それでウクライナの木版なんかも非常にいいのをウィーンかどっかへ持って行って展覧会を開いた。ウクライナの木版は非常に独特で、そうして面白いものである。 それからキノも外の芸術と同じように、勿論階級の武器だ。例えば去年の春初めてソヴェ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・五月から十一月末までベルリン、ウィーン、パリ、ロンドンなどを見物した。ヨーロッパの資本主義国の文化の過去と現在の老朽はおどろくべきものだった。本当は、医者にチェッコのカルルスバード鉱泉へ行けと言われたのだが金がなかった。一九・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ H・G・ウエルズが一九三四年にモスクを訪ねた時、むこうの作家たちにベルリン、ウィーン、ローマの各ペンクラブが、どんなにファシストの文化政策に対して「文芸の自由と品位を保持するために」たたかったかということを語っている記事を、『セルパン・・・ 宮本百合子 「ペンクラブのパリ大会」
・・・御無理をなされますと、私はウィーンへ帰ります」 磨かれた大理石の三面鏡に包まれた光の中で、ナポレオンとルイザとは明暗を閃めかせつつ、分裂し粘着した。争う色彩の尖影が、屈折しながら鏡面で衝撃した。「陛下、お気が狂わせられたのでございま・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
・・・これが導火線となって翌九二年デュウゼは初めてウィーンへはいった。彼女が空虚なるカアル劇場に歩み入った時には一人として彼女を知る者はなかったが、その夜、全市の声は彼女の名を讃えてヴァイオリンのごとく打ち震い、全市の感覚は激動の後渦巻のごとく混・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫