・・・ 審査に立ち合ったクロイツァーは、「自分は十三歳のエルマンの演奏を聴いたことがあるが、エルマンはその時、この少女以上にも、以下にも弾かなかった」 と、激賞した。また、レオ・シロタは、「ハイフェッツにしても、この年でこの位弾け・・・ 織田作之助 「道なき道」
・・・不滅ノ真理ハ微笑ンデ教エル、「一長一短。」ケサ、快晴、ハネ起キテ、マコト、スパルタノ愛情、君ノ右頬ヲ二ツ、マタ三ツ、強ク打ツ。他意ナシ。林房雄トイウ名ノ一陣涼風ニソソノカサレ、浮カレテナセル業ニスギズ。トリツク怒濤、実ハ楽シキ小波、スベテ、・・・ 太宰治 「創生記」
・・・ アナタノ小説、友人ヨリ雑誌借リテ読ミマシタガ、アレハ、ツマリ、一言モッテ覆エバ、ドンナコトニナルカ、ト詰問サレルコト再三、ソノタビゴトニ悲シク、一言デ言エルコトナラ、一言デ言イマス、アレハアレダケノモノデ、ホカニ言イ様ゴザイマセヌ、以・・・ 太宰治 「走ラヌ名馬」
・・・アリエルというご本を買いに来たのだけれども、もう、いいわ。」 私たちは、師走ちかい東京の街に出た。「大きくなったね。わからなかった。」 やっぱり東京だ。こんな事もある。 私は露店から一袋十円の南京豆を二袋買い、財布をしまって・・・ 太宰治 「メリイクリスマス」
・・・いつかのニュートン祭にやはりこの「エルケーニヒ」か何か歌われたことがあると思うが、そういうときでも先生は、「要するに、やるという事がハウプトザッヘだから……」と言って、決して巧拙のできばえなどは問題にされなかった。 酒も煙草も甘いものも・・・ 寺田寅彦 「田丸先生の追憶」
・・・もうマジエル様と呼ぶ烏の北斗七星が、大きく近くなって、その一つの星のなかに生えている青じろい苹果の木さえ、ありありと見えるころ、どうしたわけか二人とも、急にはねが石のようにこわばって、まっさかさまに落ちかかりました。マジエル様と叫びながら愕・・・ 宮沢賢治 「烏の北斗七星」
・・・ ○女子大学生 ラバ lover さん 私立大学のハイカラ生 エルサン 摩耶山はエルさんをつれてのぼるところだ、と思いましたよ。 智識階級の二十―三十代 リーベ すきな人・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・「エルリングです」と答えて、軽く会釈して、男は出て行った。 エルリングというのは古い、立派な、北国の王の名である。それを靴を磨く男が名告っている。ドイツにもフリイドリヒという奴僕はいる。しかしまさかアルミニウスという名は付けない。こ・・・ 著:ランドハンス 訳:森鴎外 「冬の王」
出典:青空文庫