・・・中庸とは英吉利語の good sense である。わたしの信ずるところによれば、グッドセンスを待たない限り、如何なる幸福も得ることは出来ない。もしそれでも得られるとすれば、炎天に炭火を擁したり、大寒に団扇を揮ったりする痩せ我慢の幸福ばかりで・・・ 芥川竜之介 「侏儒の言葉」
・・・わたしの信ずるところによれば、グッドセンスを待たない限り、如何なる幸福も得ることは出来ない。もしそれでも得られるとすれば、炎天に炭火を擁したり、大寒に団扇を揮ったりする痩せ我慢の幸福ばかりである。 小児 軍人は小児に近い・・・ 芥川竜之介 「侏儒の言葉」
・・・ジョオンズは、歌の一節がきれるたびに、うなずいて「グッド」と言った。が何がグッドなのだが、僕にはわからない。 船のほうは、その通り陽気だが、波止場のほうはなかなかそうはいかない。どっちを見ても泣いている人が、大ぜいある。君のおかあさんも・・・ 芥川竜之介 「出帆」
・・・行進 セットの終ったころ、田島は、そっとまた美容室にはいって来て、一すんくらいの厚さの紙幣のたばを、美容師の白い上衣のポケットに滑りこませ、ほとんど祈るような気持で、「グッド・バイ。」 とささやき、その声が自分でも・・・ 太宰治 「グッド・バイ」
・・・ 題して「グッド・バイ」現代の紳士淑女の、別離百態と言っては大袈裟だけれども、さまざまの別離の様相を写し得たら、さいわい。 太宰治 「「グッド・バイ」作者の言葉」
・・・T氏の傘を見て This no good. というと、また一人が This good, but that the best. と訂正した。 いわゆる日本街を人力車で行った。道路にのぞんだヴェランダに更紗の寝巻のようなものを着た色の黒い女・・・ 寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
・・・ogical Observatory with their heartfelt desire that Prof. Okada may always continue his activity in good health, on beha・・・ 寺田寅彦 「PROFESSOR TAKEMATU OKADA」
・・・妻君の妹が Good morning と答えた。吾輩も英語で Good morning といった。田中君はムシャムシャやっている。吾輩は Excuse me といって食卓の上にある手紙を開いた。「エッジヒル」夫人からこの十七日午後三時にゆる・・・ 夏目漱石 「倫敦消息」
・・・こら楽隊、In the good summer time をやれ。」 楽隊の人たちは何べんもこの節をやったと見えてすぐいっしょにはじめました。山猫博士は案外うまく歌いだしました。「つめくさの花の 咲く晩に ポランの広場の 夏・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
・・・ 又、彼のすばしこさで、この事件に対する世人の good will も分ったに違いない。彼の、「自分の決心は定って居る」と云うことに対する自分の merit は、一層、ましたと云うべきであろう。彼のそう云うことに対する不純さ。彼がすねて・・・ 宮本百合子 「有島武郎の死によせて」
出典:青空文庫