・・・ ヴィタミンABCでなじみぶかい理研のコンツェルンは、工学博士、子爵大河内正敏氏その他を主として、長野や群馬、新潟などの寒村に、「共同作業場ともいえないくらいの小さな作業場」をつくり都会の大工場で同じ機械を使って造り出す能率の二倍以上の・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・このベンデルが、永年の夢として抱いているリオ・デジャネイロ市へ永住するための資金を稼ごうとして、数年来あらゆる悪辣な秘密手段をつかってこっそり金をためている「ヘリクレス」コンツェルンの会計係コレイコから、その金を捲き上げようとする。その過程・・・ 宮本百合子 「音楽の民族性と諷刺」
・・・だが、より窮屈に暮さなければならないのは一般の人民で、巨大なコンツェルンの利潤は一九五〇年六月以後の三ヵ月だけで、前年の第三、四半期に比べて五四%増加したそうである。 商業会議所の機関紙『ネイションズ・ビジネス』は十二月号で次の意味を記・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・は常人の日暮しの中からは夙に蒸発してしまっていて、僅にその蒸溜のような性質のものが、茶会も或る意味でのコンツェルンであるブルジョアの間に、骨董屋を挾んで残存している。外国人に見せるものの中に茶の湯という項は必ずある。果してそれを今日の日本の・・・ 宮本百合子 「文学上の復古的提唱に対して」
出典:青空文庫